木魚のお化粧直し(その3)+α
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古来から漆は食器に多く使われてきました。特別な日の料理を入れる重箱から日常の食卓で使うお椀など日本の食文化には欠かせないものですが、その多くは赤色と黒色の塗り立て技法といわれるものによります。漆器の特徴である「ふっくら感」「しっとり感」「深み感」を余すところ無く表現できる代表的な技法です。
また、上塗りのとき炭や角粉を使い磨き上げる研ぎ出し技法があり、漆本来の艶が奥深くから輝き、その力強い光沢が見る人を魅了します。この技法は、蒔絵や螺鈿などの高度な技術を要する技法へ発展します。
さて主題に関係する拭き漆技法は、木材がもっている素地のそもそもの美しさを引き出す日本古来からの素朴な技法です。木地に生漆を摺り込み拭き取ることを何回も繰り返して、色・艶など落ち着いた雰囲気を醸し出します。古民家ではよく見られる、柱・鴨居・廊下・階段などの漆塗りは大工さんが拭き漆で行ったものですし、高級な竹製の釣竿も拭き漆で塗ってあります。
拭き漆の良し悪しは素地で決まります。一般的には欅・栓・楡などがその材料の代表選手です。
あるとき、タモ材のテーブルをじっくりと拭き漆で仕上げた絶品を発見してしまいました。同じような物が作れないものだろうか?とのチャレンジ精神が湧き上がり65歳の手習いで漆塗りの門戸をたたくことに・・・。
先生は文献とDVD、ジョイフル本田富里店において漆塗り教室を主宰する渡邊浩幸氏、それと精神的支えとして塗師・赤木明登氏とその著書「漆塗師物語」でした。
あえて過去形にしたのは、生意気にも自己流の塗り方による作品造りにそのベクトルが向いていることに気が付いたからです。
2010年5月、拭き漆工房「うたせ」開設。
「うたせ」は私が住む街、千葉市美浜区打瀬から頂戴しました。
その打瀬は、東京湾の遠浅の海で操業していた「うたせ船」に由来しています。
小野昭夫
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