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14. Pugo Wood Craft Shop

2012年09月20日 | コラム, 工房日記 | Comment(0)

 

14. Pugo Wood Craft Shop

 

 2012/06/02、この日の予定は、おおまかに午前中がBaguio Museum → バギオ市内の木工品Shopの探索、午後がキャンプ7での拭き漆のWork Shop開催であつた。Baguio Museum は見聞録に記述したとおり歴史を保存するのが役目で、木工品の展示物もかつての生活用具が中心であった。 ここで何か宝探しのヒントになるようなものを期待していたが、その点では収穫はなかった。

 

Baguio Museum を散策し終わったところでM子さんと合流する。このあと、バギオの中心地にあるマーケットに潜り込んで木工品Shopのウインドーショピングをする予定であった。

でも、一度下見に来た時に何十軒もある木工品のお土産屋には驚いたが、置いてあるものは大同小異、ほとんど同じ物であることは承知している。M子さんに無理をお願いして予定を変更してもらう。

 

その無理と言うのが、以前小耳にはさんだM子さんのお友達情報をたよりにして、隣の州の木彫りの村を訪ねようとするお願い。下調べもなく訪問予約もないのに、M子さんはTEXTを何本か打ち、返事が返ってこないうちに行動を起こす。行き先はバギオから西へ約30kmの州境の村、Pugo。M子さんの話によると、Pugoも家具作りや手作りの木工品がさかんな村とのこと。

 

Pugoへ向かう足は路線バス。Baguio Museum から歩いて5分の丘の上に長距離バスのターミナルがあって、マニラ行き、あるいは地方都市へ向かうバスがひっきりなしに出ている。そのうちPugo経由のマニラ行きのバスを探して飛び乗る。

 

閑話休題

 1990年7月におきたマグニチュード7.7の大地震は、バギオ市内の多くの建物が崩壊し1621人の死者と多くの負傷者を出すとともに、バギオに至る主要道路は全て寸断された。マニラ~バギオの最短コースであるケノン道路は14ヶ月もの間全面通行不能となった。一方では、最短の迂回ルートとなりうるロザリオ~プゴー~バギオ間の道路は、旧来大部分が砂利道で路面状態が悪かったため主要道路ではなかった。当時のマルコス政権は道路復旧のため世界中に援助を求め、日本がその区間の道路工事を46億円の円借款契約で応じた。完成は2001年12月。

 

Pugoへの道は、そのMarcos Highwayを下る。それも、右から左への急カーブの連続であるから、常に前の座席の肩にある取っ手を掴んでいないと放り出される。そんな中で、TEXTを確認していたM子さんが「先方と連絡が取れた!」と顔をほころばせる。

 

40分ほどでPugo村へ入る。M子さんがバスの窓からそれらしい木工所を探す。「あれっ? ここかもしれない」と思うが確信がない。「ここで降ろして」と言えば降ろしてくれるが、見当違いだったらその先どうしようもない。結局、Pugo村の中央停留所(といっても道路わきの小屋)で下車した。

 

 

 

 

ここで念願の輪タクに乗ることになった。M子さんが中央駅にたむろしている運ちゃんにイロカノ語で声をかけると、強面の面々の運ちゃんたちのほほが緩む。訳を話し行き先の工房の名前を出すと二つ返事でOKが出た。

 

 輪タクはホンダの250ccのバイクに側車を付けてそのフレームの上にカゴを固定している。カゴの中に2人・バイクのうしろ座席に1人・屋根の上には荷物が置けるようになっている。(でも、家族全員がギュウギュウ詰めにしかも

屋根の上に荷物を載せているのが普通)

このカゴに乗り込むにはちょっとしたコツがいる。強度をかせぐためかカゴの入口を狭く作ってある。まず屋根の上のバーを片手で持って頭を先に入れ、次にその手を放して上体を潜らせる。頭隠して尻隠さずの図である。中に入ると片手はその辺のバーを握りもう一つの手で膝小僧を抱くようにする。

私は、この順序を知らないので、いきなり乗り込もうとして入口の鉄バーにしたたかに頭をぶつけた。目から星が飛ぶ。たんこぶが出来たが雨用の帽子をかぶっていたので少しは助かった。

 

工房の場所はバギオ方向に後戻り。やはり先ほど“ここかも?”と言っていたところだった。時間にして5分。料金は40P(約80円)でした。

 

 

 工房の名前は、BABBAN’S  HANDICRAFT & FURNITURES。

画像でご覧のとおり、コンクリート造りの壁に松の木を張り付けた御殿風の家。展示場と住居を兼ねている。街道から見る限りでは家具屋の様相を呈している。

屋外に出ているスタチュー(地方部族のいでたちをした人が鹿を担いでいる)は一年中出しっぱなしのようだが風化されていない。塗料は何を塗っているのであろうか?もちろん、一本の木材から彫り出されている。

隣の倉庫には、武器を持ち黙って前をみつめる木像がずら~りと並んでいて、兵馬俑のよう。少し不気味でもある。普通のお客様はこの展示場に置いてある押し出しの良い家具類を求めにやってくるのであろうが、私はまったく食指が動かない。

 

展示場のどこを探してもそれらしき物はない。それらしき物とは、「ここには珍しい素材も置いてあるよ!」とのM子さんのお友達情報から宝物の可能性を秘めたそれらしき物のこと。

撮影許可をもらってデジカメを構えていると、この家の小さな子供がなついてきてそばを離れない。この子のお母さんが通りの向こうの作業場にいるらしく、街道を渡ろうとするのでその子の手を引いてその作業場へ行くと「それらしき物」があった。

その作業場は製材機械と加工機械と木くずの山。ただ今現在は作業中ではなかったが、そこで作られた木工品が無造作に点在している。

 

 

木くずの山の中から、それらしき物が顔をのぞかせている。大皿と龍の彫り物を引っ張り出した。その他にも大型彫り物の素材もあったが日本へ持って帰れない。大皿はダラカン材、龍の彫り物は柔らかそうな材であるが不明、でも漆が乗りやすそうである。双方とも手作り品。

値段を聞くと大皿は一枚200P・龍は500Pとのことであった。輪タクの運賃に比べると目玉が出るほど高いが、この宝物の価値はお金では計れない。

現地のスポーツ新聞に何重にも包んでもらって大切に持ち帰った。

 

(Pugo Wood Craft Shop編 The End)

 


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