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12.はんぱ物屋

2012年09月06日 | コラム, 工房日記 | Comment(0)

12.はんぱ物屋 

 

 この旅行記は、17の テーマに分けて記述している。最初から具体的なテーマがあった訳ではない。そうかと言って行き当たりばったりでもない。旅行の記録を整理する際に、パソコンにデジカメの画像を写し出し、その前に、例のアナログ資料と旅行中に手に入れたパンフレット、及び、領収書を並べて記憶と記録を照合させながら分類していった。

 

そこにエピソードやネット情報のメモ書きを加えてテーマを決めていった。 ほとんどのテーマ名は直感的に出てきたのでそんなに苦労はしなかったが、このテーマの表題だけは、どうひねっても「ピタッ」と当てはまる名前が出てこない。とりあえず、「半端もの」と置いた。

 

 ここでは、やっと宝物を探し当てるまでのストーリーを興奮冷めやらぬタッチで記述したかったのだが、その才能が無いこともさりながら、何をどうやって表現してよいものやら、アンティテーゼにさいなまれる(逆のテーマを持った主張がどこかにある)。

 

2012/06/01、Asinのお土産物屋を出た時は6時前後。日も暮れてきて街道も暗い。Emileeさんの叔母さんMauraの家は歩いていけないこともないが、登り道。通りかかったタクシーを拾ってバギオ方面へ向かうと、乗って3分で到着した。Mauraさんの家業は木工品の素材に追加工をして

完成品にしている。その家は細い街道に面していて表からは普通の仕舞屋にしか見えない。狭い門戸を入ると畳10畳ほどの広間があって三方を取り囲むように素材が積み上げられている。その中で若い母親ふうの人が籐カゴを編んでいた。奥の部屋から小さな子供が出てきて母親にまつわりつく、仕事がやりにくそうである。

 

 

Mauraさんの了解をもらい壁棚からめぼしい木地を引っ張り出してチェックを始める。ひびが入っていたりひん曲がったりしていて一目で不良品と分かる物をはねると大きな山ができる。残った物をもう一度、「宝物は・・・」とチェックする。と、その山が半分ほどになって、更にその中から「宝物は・・・・」と・・・・・。

 

最終的には、50点ほどとなった。

 

 フィリピンの木工品・工芸品は世界中に輸出されて一定の評価を得ているが、需要をどこではかってどこで供給しているかは皆目見当がつかない。Mauraさんが商品としている素材は、品質検査を通らなかった物、いわゆるB級品だと推測した。しかしながら、その品物の需要もあるのであろう、そうでなければあれだけ大量の在庫を抱えたら死に体になってしまう。

 

 

 Emileeさんの話では、Emileeさんの工房で素材を作ってここに搬入し、籐で持ち手を付けたり、縁取りを飾るなどの追加加工を依頼しているとのこと。

Maura さんはあまり英語が得意ではない。M子さんにイロカノ語で通訳してもらってビジネスの話を進める。その50点の物のグループ名をメモ帳に書いてもら い、その脇に「単価×個数=支払金額」を弾いてもらう。私にとっては初めての経験で、しかも他と比較することもできないのでMauraさんの言いなりである。

でも直感的に、「悪い数字ではない」と、感じた。取引を成立させてシャンシャンと手を打つ。

 

まだこの時点では、この50点を日本までどうやって持って帰るか見当もつかない。そこで、「できたら段ボールの箱にきちんと詰めてくれないか?」と頼むと、それはできない!と素っ気のない返事が返ってきた。M子さんもそばから助言してくれて、「“Whole Sale” だからパッキングもシッピングも必要だったら自分でやるしかない」と言う。

 

気が付くとすでに夕飯の時間をとうに過ぎている。カーテンの奥の方からは美味しそうな匂いが漂ってきている。この場所でお膳を広げるのであろう。そしてよく見ると隅っこには寝具が置いてある。「衣食住+職」の部屋であった。

 

Mauraさんからもらった「麻袋」に宝物を詰め込んでその家から失礼する。大きな袋をしょった「布袋様なのか大黒様?」のような恰好をしてタクシーに乗り込む。

麻袋の中にいっぱい入った「アンティテーゼの宝物」と一緒に!

 

(はんぱ物屋編 The End)

 

 


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