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9.拭き漆デモンストレーション

2012年08月25日 | コラム | Comment(0)

9.拭き漆デモンストレーション

 

 この項は「漆塗りの道具と素材」の話から始めよう。本題の拭き漆デモンストレーションの話は刺身のツマくらいのボリュームになるかもしれません。

 

漆を塗るためにはいろいろな道具が必要であるが、本漆塗りで使う漆ハケ(例の頭髪を硬く固めたハケ)や塗った物を回転させて乾かす乾燥室は拭き漆には必要ない。その他はほぼ同じ物を使う。中でも欠かせないのは、溶剤と洗い油である。

 

 

今回の旅行では、現地で拭き漆のデモンストレーションあるいはWork Shopをするかもしれないので、それなりに事前に準備して持っていった。それらは、チューブ入りの生漆・普通の刷毛・塗った漆を薄く広げるタンポ・塗った漆を拭き取るウエス・ケミカルグローブ・木地等である。「溶剤と洗い油」は機内持ち込み禁止荷物なので持っていけない。現地で調達する予定であった。

 

 漆の溶剤としては、①ガム入りテレピン油 ②片脳油 ③松根油等がある。筆の溶剤として無水エタノール。同じく筆を洗ったあとの保存油として植物系の油(なたね油・亜麻仁油等)が必要である。 日本ではいずれも、東急ハンズやDIYショップ、各地のホームセンターで見つけることが出来るし、Netでいくらでも手に入る。私の場合、電車や高速道路を使ってわざわざ買いに行かず、ある程度まとめてNetで購入している。

 

 すぐに閑話休題。

話は遠くに逸れてしまうが、「オートバイ」や「ナイター」は、語源は英語でも日本語である。海外でオートバイ、ナイターと言っても「えっ!」と聞き返される。全く通用しないのである。日本語のオートバイは、自動自転車:Auto BicycleがAutoby → オートバイとなった。英語では、Motorcycle、またはBike、同じくナイターはNight Game Nightである。

 

実は、「テレピン油」も日本語だったのである。

テレピンと発音しても誰もが???と首をかしげてちんぷんかんぷん。あちこちといくら探しても出てきません。テレピン油は、英語ではGum-Turpentaine Oilであった。原料は松ヤニでそれを水蒸気で蒸留すると透明な油がとれる。その油を生漆に混ぜて最初の作業である木地固めに使う。この溶剤がないと先へ進めないのです。

 

バギオ滞在の初日と2日目は、先の携帯電話とこのテレピン油を手に入れるのに奔走することになるのですが、テレピン油が見つからない。日本ではちょっと郊外に出れば街道筋にあるホームセンターがバギオにはない。そもそも車でショッピングに行くような郊外も街道もないのである。では、その種の買い物をするとき住民はどうしているか?と言うと、まず携帯電話を買ったデパートSMの3FにあるDIYショップに行き、探しまくります。そこになければ、SMから中央市場まで続いているバギオの銀座通りSession Rd沿いにところ狭しと並んでいる専門店をのぞき必要な物を買い揃えるのである。

 

さてこの旅行記の副題:「宝物探しの旅」は最初から迷路に入ってしまいました。なんとしてもテレピン油を探し出さないと「本物の宝物」は見つからないかもしれない。

 

まず、例のアナログ資料を紐解いてテレピン油の英語名を探し出し、以降、“Gum-Turpentine Oil”と叫んでSMを皮切りに専門店(文房具店・画材屋)を何軒かのぞくが見つからない。かなり特殊なものなのです。

先に紹介したSession Rdは全長700m、標高差30mくらいあるので、下りは楽だけど上りはそのつけが廻ってくる。そこを2~3回行ったり来たりする羽目に・・・・。2人とも少々へばってきたとき、M子さんがハタと気が付いて、その坂の途中の横道に入って行く。

そこはバギオ大学へ至る道でほかの道とは雰囲気が違う。しばらく行くとトタン板に囲まれたオブジェ風の構築物があって、中では数名の若者たちが芸術活動中でした。

M子さんはくぐり戸を抜けて中へ入って行き、しばらくすると中から手招き。皆で寄ってたかって相談に乗ってくれる。談義の結果、セッションの下にあるハードウエアショップへ。だがしかし、そこではもう取り扱いなし。。。お店の親父さんの情報でJET Book Storeという文房具屋さんへ行くことになった。

 

 その文房具屋さんは2~3回上り下りした坂道の途中のビルの3階にあった。そこで「宝物のひとつ」をGet! テレピン油ではない“Gum-Turpentaine Oil” と “亜麻仁油”を手に入れました。 値段は双方とも@78P。日本円で、両方で300円くらい。激安!これまでの疲れが一気にふっ飛び2つの宝物を携えてキャンプ7へ向かう。

 

 拭き漆のデモを行った場所は昨日見学したキャンプ7の木工所。見学する人は、Emileeさん姉妹、Emileeさんの伯母さん、木工所の従業員さん、それとM子さん。 画像のように日本から持参した道具類と木地類を広げ、そこに現地材で出来た小ボウルを加える。全員に#400の紙ヤスリでの最終仕上げを手伝ってもらう。

 

漆塗りは、準備:塗り:後始末の割合が1:2:1くらいの時間配分になります。つまりしっかり準備して手際よく塗る、そして次の日のことを考えてキチンと後始末することが肝心なんです。

 

 

この日は、私が拭き漆の実演をして皆さんは見るだけにしてもらいました。普段よりゆっくり手を進めて、途中で説明を加えながら10点の作品の木地固めと2点の上塗りをしてオシマイ。

 

急ごしらえの乾燥室(段ボ-ルの箱を改造した物)に静かに入れて周りをテープでシールする。気温・湿度はそのまんまで申し分ない。 でも、ホコリが心配。

 

出来具合は明日にならないと分かりません。

翌日はなんと、皆さんが拭き漆に挑戦することに・・・。

 

(拭き漆デモンストレーション編 The End)

 


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